こんにちは。三重県熊野市のデザイン事務所ソルトグラフィックの塩崎です。
本日は、私がパッケージデザインを担当させていただいた「いざなみ米」の紹介と、花の窟神社について紹介したいと思います。
近年、熊野市のお土産物としても人気となってきたいざなみ米。そのデザインから派生して、パッケージに描かれているロゴイラストは道の駅熊野・花の窟のスタンプにも採用されました。
三重県熊野市が誇る世界遺産花の窟神社とともに、いざなみ米のデザインについて語りたいと思います。
世界遺産にして日本最古「花の窟神社」と奉納米「いざなみ米」
世界遺産「花の窟神社」
まずはいざなみ米が奉納米として献上されている花の窟神社についてのご説明。
花の窟は三重県熊野市有馬町にある神社で、世界遺産にも制定されています。
巨岩を御神体とし、年に二度例大祭の日には、岩の頂上から数百メートルの縄をかける神事が行われています(お綱かけ神事)。この日は大勢の参拝客が力を合わせて、花の窟神社の頂上から垂らされたお綱を張り巡らせます。さながら天と地上の綱引きのよう。
なぜ花の窟神社は日本最古の神社なのか?
さて、この花の窟神社は日本最古の神社としても有名。全国各地にも日本最古といわれる神社はいくつかあります。その中でもなぜ花の窟神社が日本最古といわれるのでしょうか。そこには明確な理由があります。
それを説明するには少し日本神話についてふれなくてはいけません。日本神話は大きく分けて、古事記と日本書紀の二つがありますが、花の窟神社については日本書紀にその記述があります。
一書曰、伊弉冉尊(いざなみのみこと)火神を生み給う時に灼かれて神退去(かみさり)ましぬ。故(か)れ紀伊国熊野の有馬村に葬しまつる 土俗(くにびと)此神の魂を祭るには 花の時に花を以って祭る。又、鼓吹幡旗を用て歌い舞いて祭る
イザナミノミコトとは日本の様々な神様を生んだ母神様です。日本書紀において、イザナミノミコトは火の神を産んだことがもとで、火傷をして亡くなって(神退却)しまいました。そしてイザナミノミコトは熊野の有馬村に祀られたとあります。
そのイザナミノミコトを祀ったとされるのが、現有馬町にある花の窟神社。その名の由来は「花の時に花を以って祭る」と日本書紀に書かれていることから、花の窟神社と呼ばれる様になりました。
神社とは何かを定義する際、神様を祀る場所であるとも言えます。そう考えた時、日本神話において一番最初に神様を祀ったという記述があることから、花の窟神社は日本最古の神社とされているのです。
神社といっても社殿はなく、巨岩が御神体として祀られている花の窟神社。日本最古の神社と呼ばれるだけあって、そこには自然崇拝や太古の祭祀場などいにしえの空気に満ちています。世界遺産に登録されているということもあり、全国から多くの方が参拝者が訪れる、熊野市有数の観光名所でもあります。
花の窟神社の奉納米「いざなみ米」とパッケージデザイン
いざなみ米とは、花の窟神社の奉納米として作られており、生産量がわずかな貴重なお米です。古代米の一種で、色は濃い紫でいわゆる黒米という種類。
通常の白米に混ぜて炊き上げることで、もちもちとした食感と風味が楽しめます。手頃なサイズであることから、近年花の窟神社のお土産物として人気を博しています。
ソルトグラフィックではこのいざなみ米のパッケージデザインを担当させていただきました。
基本的に、花の窟神社に隣接するお土産物やさん「お綱茶屋」での販売を目的とすることから、ターゲットとしては花の窟神社を参拝されるお客様、特に女性のお客様をイメージしてデザインしました。
私のデザインで、一つテーマとしているのが大人の可愛さ。可愛さというのは感情に強烈に作用する要素でもあります。ただ可愛いというのでなく、子供っぽいのではない、大人が上質に感じる可愛さというものを意識しています。
いざなみ米においても、その大人の可愛さをパッケージに落とし込み、お客様が感覚的に手に取りたくなるようなデザインにしています。
イザナミノミコトや古代の巫女さんをイメージした女性のイラスト(スタッフの方からは「いざなみちゃん」と親しまれているよう)をロゴ化。頭には熊野のご神木とされる梛の葉の冠をかぶせています。体の部分は花の窟となっており、髪留めから体にかけて、お綱を渡しています。
いざなみ米は奉納米であり、神への豊穣の祈りや感謝の意味も込めて、イラストロゴの女性は手をあわせて稲穂を掲げるようなポーズをとっています。また、熊野は海から日が出ることから、象徴的に太陽も配置して熊野の要素を高めてました。
このいざなみ米パッケージのイラストロゴは、スタッフの方にとても気に入ってもらい大切に使っていただいております。最近ではいざなみ米を使ったお餅、うどん、ポン菓子、あられ、おかゆなど様々な商品展開が進み、熊野の新たなお土産物として名物となってきました(関連商品もソルトグラフィックでデザインを担当させていただいております)。
ちなみに私のおすすめはいざなみ米の熊野うどん。乾麺の状態で販売されており、コシが強く味わいがあり、普通のうどんとして食べても美味しいですが鍋などに入れても合うのでお土産物にもおすすめ。いざなみ米の熊野うどんはお綱茶屋内の飲食コーナーでも食べることができるので、お立ち寄りの際は是非召し上がってください。
2018年、お綱茶屋が道の駅に登録され「熊野・花の窟(お綱茶屋)」となりました。その際、道の駅スタンプにも、このいざなみ米のイラストロゴが採用されています(こちらもソルトグラフィックのデザインです)。お米のパッケージから、様々な方向に展開が広がり、デザイナーとしても嬉しい限りです。
熊野旅行の際には、是非花の窟神社へご参拝ください。そして参拝の後に、お綱茶屋に寄って、熊野のお土産に最適ないざなみ米に注目してもらえれば幸いです。ちなみに、お綱茶屋ではソルトグラフィックデザインのヤタガラス手ぬぐいも扱っていただいております。こちらもあわせてどうぞ。
ヤタガラス手ぬぐいは下記ネットショップからもご購入いただけます。
ソルトグラフィックのその他の仕事については下記からどうぞ。
※ロゴやパンフレットなど各種デザインがご入用の時にはソルトグラフィックにご相談ください。
道の駅熊野・花の窟(お綱茶屋)のホームページはこちら
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