「いだてん」最終回で映る、オニツカタイガーとオリンピック

こんにちは。三重県熊野市のデザイン事務所ソルトグラフィックの塩崎です。

昨日、ずっとみつづけていた大河ドラマ「いだてん」が最終回を迎えました。

物語自体にも色々と感動するポイントは多かったのですが、ちょっと目線をかえてシューズデザインについてブログを書いてみました。

最終回にちらっと映った、見覚えのあるあのデザインとオリンピックについて。

「いだてん」に見るオリンピックとオニツカタイガーの関係

足袋でオリンピックに出た金栗四三

昨夜完結した、大河ドラマ「いだてん」。

視聴率や俳優問題などいろいろありましたが、結果ハッピーエンドな最終回でした。史実だし、無事開かれるとわかっていても、聖火台に火が灯された瞬間にはぐっとくるものがありましたね。

日本のスポーツ史とともに、どれだけ多くの人の情熱の結果に1964年の東京オリンピックが開かれたのかというのが、よく伝わったドラマです。

特に日本のオリンピック黎明期がどのような様子だったかというのが興味深かった。主人公の金栗四三さんは、日本人初参加のストックホルムオリンピックの段階では足袋で出場しています。

足袋!

足袋なんて、今ではお祭りか寄席演芸などでしか見ることがありません(足袋との兼ね合いもあって志ん生でてた?)。

そんな金栗さんの足袋もいだてんの回が進むにつれて改良され、近代的なスポーツに適したデザインが施されていくように(底の滑り止めとか)。

そして昨日の最終回。東京オリンピックの聖火ランナーのシーンで大写しになっていたものは、足袋ではなくシューズでした。じゃんじゃん。

いだてん最終回に映るオニツカタイガー

オニツカタイガーとオリンピック

一瞬ですが、大写しになるシューズ。それは現代でも我々が目にする、見慣れたデザイン。

そう、「オニツカタイガー」です(見慣れてねーよというツッコミはなしで)!

一瞬アシックスかと思いましたが、調べたらアシックスができたのは1977年。ということは、アシックスの前身であるオニツカタイガー。

オニツカタイガー、アシックスのシューズで特徴的な、あのタイガーライン(というらしい)が大写しになっていました。

東京オリンピックではオニツカタイガーを履いた選手のメダルラッシュが続き、金銀銅あわせて46個も獲得したそう。世界中にオニツカタイガーの名を知らしめたそうです。

私はここ数年オニツカタイガーが好きでずっと愛用しています。ちょっととんがったデザインとカラーリング、スニーカーならではの履きやすさがお気に入り。難点といえば、売っている場所が少ないところでしょうか(都会に行かないと買えない。ネットでも買えるけどね、靴をネットで買うのはね、ちょっとね、、、)。

東京オリンピック時にはあのデザインはなかった?

アシックスかオニツカタイガーか調べるついで見ていると興味深い記事が。

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上記の記事を読む限り、1964年の東京オリンピック時にはどうやら、タイガーライン(アシックスストライプ、メキシコラインとも)はなかったそう。東京オリンピック時はUIデザインという、今とは違ったデザインだったそう。

でもウィキペディアには1964年にタイガーラインが初めてシューズに装着されたとあります。いったいどっちなんだろう?

だから「メキシコ」っていうのか

さらに調べていくと、いわゆるライガーライン、アシックスストライプは1966年に、1968年のメキシコオリンピックを見越してデザインされたもののようです。

poseurs

必ずといっていいほどスニーカーに付いているサイドのロゴマークやストライプに込められた意図を調べてみました。…

オニツカタイガーの靴って「MEXICO 66」ってモデルがあって「なんでメキシコなんだろう?」ってずっと思っていましたが、今回調べてみて腑に落ちました。やはり名前というものには由来があるもんですね。

ネット上にあるいろいろな記事を総合した結果、いだてんで大写しになった、オニツカタイガーのあのシューズのデザインは、当時はまだ(デザインとしてはあったとしても)お披露目されていなかったんじゃないかなと思います。

ただ、当時のオニツカモデルは、今では生産されていないようですし、それを作り直すということも難しいので現在のもので代用したのかもしれません。

アベベも実はオニツカタイガーを履いていた

金栗さんを支えた足袋屋「ハリマヤ」さん。最初はピエール瀧さんが演じ、その後三宅弘城さんにひきつがれました。

そんなハリマヤさんが、最終回で、アベベが自分ちの足袋を使っていないことを嘆いているシーンが。せっかく足の型までとったのに!

この時、アベベが履いていたシューズはプーマのものだったようです。実は直前までオニツカタイガーが熱心な交渉をしていたようなのですが、採用されなかったみたい。実際に履いてもらい、走って高評価は得ていたみたいなのですが。

笹川スポーツ財団

1960年ローマ大会のマラソンコース、アッピア街道の石畳を裸足で走り抜いた「裸足の王者」アベベ・ビキラ。そのアベベ…

オリンピックでメダリストが使った靴というのは、ブランド力がぐんと上がるみたいですね。アベベにこそオニツカタイガーを履かせられなかったものの、他の選手の奮闘で、オニツカブランドは世界でその地位を獲得したようです。

いだてん最終回にちらっと映った、馴染みのあるシューズ。

そこから色々調べていくうちに、オニツカタイガーのデザインの歴史や、スポーツで活躍する選手に履いてもらうことの重要性など知ることができました。細かいとこにも注目しておくものですね。

ちなみに、ナイキの創業者が書いた「SHOE DOG」という本に、オニツカタイガーのことが詳しく書かれています。ナイキとオニツカの関係と因縁。かなり深いものがありますが、、、。

さぁ、昨日でいだてん最終回。しばらくいだてんロスが続きそうですが、また面白いドラマに出会えることを期待することにします。

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