【熊野地方】漫画・アニメ聖地巡礼紹介

こんにちは。三重県熊野市のデザイン事務所ソルトグラフィクの塩崎です。

私が住んでいる三重県熊野市は聖地とされる場所が多く、世界遺産に登録されている神社などが多数あります。

今回は通常の意味での聖地とは一風変わって、熊野市や三重県、和歌山県の熊野地方を舞台・題材・ゆかりのある漫画やアニメの紹介をしてみたいと思います。ある意味漫画やアニメの聖地巡礼。

ここでは私が今まで読んだことのある作品を中心にご紹介。

それ以外の熊野を題材にした漫画や小説作品などは、み熊野ねっとさんのページにも詳しく紹介されていますので、そちらもおすすめです。

参考:み熊野ねっと | 熊野の本(マンガ)

熊野地方が舞台、ゆかりのある漫画・アニメ聖地紹介

三重県熊野市舞台、ゆかりの漫画聖地

【ゲゲゲの鬼太郎「かまぼこ」の回 / 獅子岩】

日本人の誰もが知っている超有名漫画、ゲゲゲの鬼太郎。白黒放送の時代から、令和の時代まで多くの老若男女を虜にしている妖怪漫画の傑作です。

そのゲゲゲの鬼太郎の中で、カルトな人気を誇る「かまぼこ」という回。鬼太郎が、半魚人によってかまぼこにされてしまうというとてもシュールな話。

しかもそのかまぼこが、鬼太郎のちゃんちゃんこと同じ黄色と黒のストライプなのが面白いところです。

漫画版では、一発目のコマで鬼太郎が獅子岩下の七里御浜海岸をぶらぶらと散歩している様子が描かれています。おばけにゃ学校も仕事も何にもない。

漫画ゲゲゲの鬼太郎。かまぼこの回に出てくる獅子岩

実際に水木先生がこられたのかどうなのかはわかりませんが、獅子岩をかなり詳細に描かれていますね。昔の木の生え具合なども観察できて面白い。

ちなみに、いまやっている令和版アニメの鬼太郎でも獅子岩や鬼ケ城が登場したそう。

【ゴールデンカムイ13巻 田本研造 / 神川町】

大人気漫画ゴールデンカムイ。北海道で元兵士とアイヌの少女、脱獄囚などが入り混じって金塊を争奪し合うアクション漫画。

アクションも見所ですが、ギャグセンスもよく私も大好きな漫画です。特にアイヌの文化であったり(チタタプしてヒンナヒンナしたい人は多いはず!)明治期の実在の人物が絡み合うところも面白いですね。

そんなゴールデンカムイにも熊野市ゆかりの人物が。

それは13巻、124話に登場する田本研造さんです。漫画では変な写真を撮りまくってますが(そのあとの巻でも谷垣の写真は大活躍)、歴史上では土方歳三の写真を撮ったという重要な役割を持っています。

この田本研造さんの出身地が、三重県熊野市の神川町。山に囲まれた町で、高級黒石の那智黒石の産地としても有名。

田本さんは神川の地から、北海道まで移り住み、日本における写真撮影の先駆者ともなった人。幕末を駆け抜けた人々の姿を今に残しています。

田本研造が撮った土方歳三

ちなみに調べていたら、ジャンプの人気漫画「るろうに剣心」の北海道編というのが連載されており、そこでも田本研造さんがでてくるそうです。私はまだ読んでないのですが、土方歳三や新撰組がからんでくる漫画には結構重宝される存在になっていますね。

【凪のあすから / 新鹿町・波田須町】

熊野市の漫画・アニメの聖地巡礼の代表格「凪のあすから」。

熊野市の新鹿町や波田須町はアニメ版凪のあすからの舞台となった地として、ファンから知られています。

放映が終わってからだいぶ経つのですが、今でもファンの方達の聖地巡礼が途絶えないそう。舞台となったお店には、今でもファンの方々が訪れています。

熊野市ではとても貴重なコスプレイヤーさんたちが、遠くの地より来てくれるのはまことにありがたいことです(2022年8月2日の「マツコの知らない世界」の「アニメ聖地巡礼の世界」特集で波田須が紹介されました!ありがたや!)。

凪のあすからと熊野市については「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」にも登録されています。

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【村上もとか先生の奉納絵 / 花の窟神社】

大沢たかおさん主演で大ヒットしたドラマ「JIN-仁-」の原作者、村上もとか先生の絵が、熊野市有馬町にある花の窟神社(世界遺産)に奉納されています。これは熊野市出身の染色家、奥田祐斎さんとのご縁で実現したとのことのよう。

村上もとか先生といえば、「JIN-仁-」をはじめ「龍-RON-」、「六三四の剣」など大ヒット漫画を何作も連発している漫画家さん。

その村上先生が、花の窟神社で祀られているイザナミノミコトを布に描き上げています。村上先生ならではの、優しくも力強さのこもった美しいお顔立ち。

花の窟神社の社務所の奥か、その対面にある空間に飾られていることがあるので、参拝のおりには是非ごらんください。ちなみに、私がパッケージデザインを担当している、花の窟神社の奉納米「いざなみ米」も合わせて見ていただければ幸いです。

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いざなみ米のロゴ

参考:熊野・花の窟特別企画「村上もとか氏、奥田祐斎氏 熊野を創る・熊野を語る」開催されました。

【徒然日和 / 熊野市、木本高校】

最近教えてもらったのですが、この「徒然日和」という漫画も三重県熊野市が舞台のようです。

pixivコミックというところで、第一話を試し読みしたのですが、これまごうことなき熊野市!しかもメインの舞台となっている学校は、我が母校木本高校ではありませんか(作中では「森本高校」となっていました)。一棟と二棟の間にある中庭がそのまんま。

作者の土室圭さんという方は木本高校の出身者の方でしょうか?気になるところ。他にも熊野市の各場所が描かれているそうなので、購入してじっくり読みたいと思います。

(すでに「徒然日和」聖地巡礼のため熊野市まで来られた方もいらっしゃいました!すごい!「徒然日和」聖地まとめ

【帝都物語異録(小説)/ 熊野市(もしくは和歌山県龍神村)】

映画化もされ、一斉を風靡した小説「帝都物語」。その外伝的な作品である「帝都物語異録」に熊野市有馬町が出てきます。

「帝都物語」で圧倒的人気キャラクターといえば加藤保憲。軍服姿で魔術を操り、帝都東京を壊滅に追いやろうとした魔人です。映画で加藤保憲役を演じた嶋田久作さんの姿が印象的すぎて、ストリートファイターシリーズのベガをはじめ、様々な作品に影響を与えたといわれています。

さて、帝都物語の外伝「帝都物語異録」には加藤保憲が魔人になるまでの生い立ちが描かれた作品が収録されています。

冒頭、霊を見る能力を持つ、保という名の少年が獅子岩のそばの七里御浜海岸に佇むシーンから始まります。この保少年がのちの加藤保憲となります。正確にいえば、この少年時代は、まだ加藤保憲ではなく、その後和歌山の龍神村での経験を経て魔人「加藤保憲」となっていくのですが…

Wikipediaなどにも加藤の生まれは龍神村と描かれていますが、「帝都物語」の加藤保憲に成った場所が龍神村であり、加藤保憲の元(依り代?)となる保の出生地は熊野市の有馬町あたりです。

解釈次第にはなりますが、私は日本オカルト界に燦然と輝く加藤保憲の産まれた場所は熊野市と言いたいです。

三重県紀北町が舞台、ゆかりの漫画作品

【南紀の台所 / 紀北町】

三重県紀北町を舞台に、熊野地域の食文化や生活風景を描いた漫画南紀の台所。

作者の元町夏央さんは、実際に紀北町に住まわれていたので、リアルな三重県南部の生活様式が描かれています。

私は熊野市出身なのですが、近隣の尾鷲市や紀北町の食文化でも全然知らなかったものが載っていたりと、新たな発見のある作品でした(特に九鬼町のブリのべっこう寿司!)。

田舎暮らしあるあるや、この地域の人の雰囲気や空気感が詰まっている作品ですので、おすすめです。

三重県御浜町にゆかりのある漫画作品

【さいとうたかを先生の大屏風/ 御浜町】

御浜町阿田和地区の光明寺には、「ゴルゴ13」などの作品で有名な漫画家のさいとうたかを先生の屏風「さいとうたかをの世界・劇画群像」が奉納されています。

さいとうたかを先生のお母様が阿田和出身らしく、そのご縁で光明寺さんに寄贈されたのだそう。

普段は大切に保管されており、春と秋の彼岸の中日には本堂で一般公開されているそうです。

私は写真でしか拝見したことがないのですが、ゴルゴを始め様々なキャラクターが描かれている迫力のある作品。

お彼岸に、機会が合えば是非拝見したい大屏風です。

三重県紀宝町にゆかりのある漫画作品

【鬼滅の刃(産屋敷)/ 紀宝町】

2020年、コロナ渦で疲弊した日本の出版や映画業界の救世主ともいうべき作品「鬼滅の刃」。

原作、アニメだけでなく、周辺グッズやキャラクターの名前にちなんだ聖地巡礼などにも人気が及んでいます。

熊野市の世界遺産「鬼ヶ城」をはじめ、鬼伝説が多数残るこの熊野地域でも、少しばかり「鬼滅の刃」とつながりが。

「鬼滅の刃」の主人公竈門炭治郎をはじめとする多くのキャラクターは鬼殺隊という組織に所属しています。その鬼殺隊を束ねるのがお館様こと産屋敷耀哉さん。病に侵されながらも鬼殺隊のメンバーから圧倒的な信頼を受け、一族の悲願である鬼舞辻無惨を滅するために戦い続けています。

お館様の非常に特徴的な苗字である「産屋敷」。この苗字は三重県南部の熊野地域が由来とされ、特に現在では紀宝町に多く在住しているそうです(参考:苗字由来net)。

「鬼滅の刃」作者の吾峠呼世晴さんが、紀宝町の産屋敷さんからヒントを得て名をつけたかは定かではありませんが、遠からずつながりがあるのかもしれません。

ちなみにですが、熊野地域では産屋敷さんの他にも鬼屋敷さん(元プロ野球選手の鬼屋敷正人さんも紀宝町出身)や屋敷さん(人気漫才師「ニューヨーク」の屋敷裕政さんは熊野市出身)など屋敷にゆかりのある苗字がいくつかあります。

縁起物手ぬぐい

和歌山県の熊野地方が舞台、ゆかりの漫画・映画聖地

【荒木飛呂彦先生のお守り / 田辺市本宮大社】

荒木飛呂彦先生といえば、言わずと知れた「ジョジョの奇妙な冒険」の作者。特に男子からは熱狂的な支持を得、ジャンプ黄金期の立役者でもあります。

その荒木飛呂彦先生がデザインしたお守りが、和歌山県の熊野本宮大社に(熊野本宮大社は世界遺産にも登録され熊野地方でも聖地中の聖地ともいえる場所です)!

ヤタガラスをデザインしたお守りなのですが、造形、色彩ともに荒木先生テイストが炸裂ぅ。荒木先生×鳥ということで、若干ペットショップ(第3部に出てくる鳥のスタンド使い)っぽさもありますが、そこがまたいい。グッド!

何よりも、ヤタガラスをこうデザインしてくるか!!っという、ヤタガラス手ぬぐいを作っている身からすると、あっと言わされるデフォルメ。いままでヤタガラスグッズを作ってきた人にはできないことを平然とやってのける。

このお守りを持つと、背後から見えない何かのご加護がありそうな感じがします。

参考:漫画家荒木飛呂彦先生デザイン和の守

【007は二度死ぬ / 勝浦町熊野那智大社】

言わずと知れた世界的人気映画「007」。イギリスのスパイ、ジェームズボンドが大活躍するスパイアクション映画で、1962年の第1作目から数多くの作品が作られています。

その中で、第5作目の「007は二度死ぬ」において、和歌山県勝浦町にある、熊野三山の一つでもある世界遺産熊野那智大社(こちらも本宮大社と並び、聖地中の聖地です)が登場します。

「007は二度死ぬ」は日本が舞台の作品で、ボンド役は今も人気の根強いショーンコネリー。バディとして丹波哲郎も出演しています。また、敵役のブロフェルドは人気コメディー映画「オースティン・パワーズ」のDrイーブルのモデルでもあります。

この映画、いかにも海外の人がイメージで作り上げた日本といった感じで、よくわからない日本の風習(お風呂接待、忍者養成所)が数多く登場します。

その中で悪の組織(スペクター)に潜入するため、ボンドは日本人に変装し(全くアジア系には見えませんが)、結婚式をあげます。その結婚式がクセモノで、なぜか数組で行う合同結婚式。なぜ合同なのかさっぱりわかりませんが、その結婚式を執り行われた場所が熊野那智大社なのです。

なんとなく見ているだけでは見過ごしがちですが、遠くに那智の滝が映っていたりもします。

映画好きなので、このシーンを目撃した時、007の舞台になったことや、熊野地方に名優ショーン・コネリーが来ていたことにも感動しました!

ヘンテコな日本観にあふれた作品ではありますが、シリーズ最大の敵スペクターのブロフェルドとガチンコ対決する作品でもあるのでオススメです。

※007は二度死ぬの聖地巡りをしていた人がいたので、リンクをば。

【水木しげる先生の「猫楠」 / 白浜の南方熊楠記念館】

水木先生は鬼太郎以外でも、様々な世界の偉人や奇人を主人公にした漫画を書かれています。

その中でも南方熊楠が大のお気に入りのよう。この「猫楠」という漫画の以前にも「奇人怪人大図鑑」という作品で、熊楠の漫画を描いているので、そうとう気になる存在だったのではないでしょうか。

南方熊楠といえば、熊野が世界に誇る大学者。その研究は博物学、生物学、宗教、哲学、民俗学と幅広く今でも多くの人に影響を与える存在。

先述の村上もとか先生の「JIN-仁-」にも出てきますし、そもそも主人公の南方仁の苗字は熊楠から来たそう。

そんな南方熊楠の生涯を描いたのが、水木先生の「猫楠」。熊楠の生涯を水木先生流に、一流の作品に仕立て上げています。

聖地というか舞台というか、一応和歌山県白浜にある南方熊楠記念館に指定していますが、熊野地方全てが舞台のようなもの。

熊野を訪れる人には、是非とも一読していただきたい傑作です。

【石川雅之先生の「テシェキュルエデリム~ありがとう」 / 串本町大島】

石川雅之先生といえば、菌を主人公にした大ヒット漫画「もやしもん」の作者として有名。菌が見える青年の農大での生活を描いた、ハートフル学術コメディー(?)。わけのわからない紹介ではありますが、発酵などに興味のある方は絶対におすすめの作品。菌にも発酵にも興味がなくても、めちゃくちゃ面白い漫画です。

そんな石川雅之先生の作品で「テシェキュルエデリム~ありがとう」というものがあります。これは、和歌山県串本町の大島で1890年におきた海難事故を描いた漫画。

嵐の中トルコの軍艦エルトゥールル号が難破し、その乗組員を、大島の住人が命がけですくったという史実を作品にしています。この大島の人たちの行動が、今でもトルコの人たちの親日感情に結びついていると言われています。

もやしもんとは又違った、史実を基にした石川先生の漫画。石川先生の絵は密度が濃く、表情もうまいので、事故当時の緊迫感などが非常にうまく描かれています。ページ数はあまりなく、短編形式ですが、短い中に過去と現在で人情がどういう作用を及ぼすかということが学ばされます。「情けは人の為ならず」とはまさにこのこと。

「テシェキュルエデリム~ありがとう」はとても素晴らしい漫画なのですが、残念ながらコミックス化されていません。読みたい人はKindleで販売されているのでどうぞ。

ちなみにこのエルトゥールル号事件は「海難1890」という映画でも知ることができます。

【浦沢直樹先生の「BILLY BAT」の光森村/北山村(あるいは熊野市飛鳥町?)】

「YAWARA!」や「20世紀少年」など数々の代表作を持つ浦沢直樹先生の作品「BILLY BAT」。

時代は1949年。日系アメリカ人の漫画家ケヴィン・ヤマガタはこうもりを主人公にした自身の作品「BILLY BAT」のキャラクターを日本で見たという人物に会う。その真相を確かめるべく、日本に赴くのだが…。物語は「BILLY BAT」という漫画の枠を超え、時空を超えた壮大なスケールとなっていきます。

「BILLY BAT」の中で、重要なアイテムとしてとある巻物が出てきます。その巻物は光森村という架空の地域に隠されているのですが、作中に示される地図から北山村が舞台であると思われます。

ただ、細かいところまで見ると、地図を指差したドンピシャな場所は熊野市の飛鳥町という地域なのです。北山村は指一本分横。

BILLYBATの光森村の舞台?北山村もしくは熊野市飛鳥町

舞台の特定に難しいところですが、「BILLY BAT」では光森村は和歌山県とされているので、北山村をモデルと考えます。

(ちなみに、光森村へ行くまで立ち寄った「奥紀州駅」は熊野市駅がモデルかと思われます。熊野市周辺は奥熊野というので。)

まとめ

ざっと、三重県、和歌山県の熊野地域を題材にした漫画やアニメを紹介してみました。

小説なども含めると、この地域を題材にした作品はまだまだあります。漫画・アニメ・映画ファンの方は熊野に来られた際は是非これらの聖地巡礼の参考にしていただければ!

道の駅熊野・板谷九郎兵衛様ロゴ

(余談ですが、三重県熊野市紀和町にある「道の駅熊野・板屋九郎兵衛の里」施設内には、私が書いた九郎兵衛さん伝説の漫画がパネルで掲示されております。お立ち寄りの際は是非ごらんください。道の駅熊野・板屋九郎兵衛の里

板屋九郎兵衛さんとお菊さんと道の駅

今後も、熊野が取り上げられている作品を発見したら随時更新していきたいと思います。

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